タイのテレビ報道によると、アピシット首相(民主党党首)は20日夕方招集され行われた警察委員会(委員長、アピシット首相)会合で、9月末で定年退官するパチャラワート警察長官の後任にパティープ警察大将を推薦したが、委員10人の過半数の支持を得られず、結論は持ち越しとなった。重要人事の失敗で首相の指導力低下と政府内の分裂が明らかになり、タイのマスコミは解散総選挙の可能性も報じている。
会合では連立与党タイ国家威信党党首のチャワラット内相、ウィチャイ内務次官、パチャラワート長官ら5人が反対に回った。パチャラワート長官は反タクシン元首相派団体「民主主義市民連合(PAD)」の創設者で実業家のソンティ・リムトーンクン氏が今年4月に銃撃された事件に関連し、首相の指示で8月前半に一時休職扱いとなった。パチャラワート長官の兄のプラウィット国防相(元陸軍司令官)はタイ国家威信党と近いとされる。チャワラット内相、パチャラワート長官らはジュムポン警察副長官を推しているが、ジュムポン副長官はタクシン元首相の引きで出世したとみられ、首相は拒否感を示しているという。
首相は21日午後の予定をキャンセルし、同日昼、民主党のチュアン元首相、バンヤット前党首らと昼食をとり、善後策を検討した。首相はその後、記者団の取材に応じ、一部で報道された解散総選挙や辞任を否定、緊張した面持ちで「解決策は見つかる」と繰り返した。首相の後見人的立場のチュアン元首相は「予想外だっと思うが、解決できるだろう」と述べた。
タイ国家威信党はタクシン派政党から分離したネーウィン元首相府相派が中心で、次期総選挙をにらみ、内務省、警察への影響力強化を図っているとされる。ネーウィン氏は1990年代にも連立政権内部で瀬戸際戦術を繰り返し、政権崩壊を招いた過去がある。
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